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母の健康

少し前、母から

「Mと今度奄美まで旅行することになってん」

と言う話を聞いた。

Mとは私の次兄の娘で、母にとっては孫、私にとっては姪に当たる。

奄美大島は母の故郷のため、そこに孫と一緒に旅行に行くなんてとてもめでたいことだ。

案の定、母はものすごく楽しみにしていた。

「向こうではMがレンタカー借りてあちこち連れてってくれるねん」

とこれもまた楽しみにしていた。

車を運転しない母にとって周りの人間はみな運転手で、うちの配偶者などもよくタクシー代わりに使われている。

それでは足りず

「あんたも車運転したらええのに」

と私にもしょっちゅう言ってくるから、その度

「あなたが死んでから運転します」

と言うようにしている。

母の足の一人になど絶対になりたくない。

このように、全ての物事は自分中心であるべき、周囲の人間は自分に従うものである、と固く信じているようにしか見えない母の言動に、これまでどれだけ振り回されたであろうか。


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母の愛犬。ものすごくうるさい。


そんな母が先週かぼそい声でまた電話して来た。

「血圧が200越えてな、昨日救急車で運ばれてん」

詳しく話を聞くと、いつものように夕方の血圧を計ったら、最高血圧が201もあって、頭もクラクラするから救急車を呼んで病院に行ったらしい。

母は心臓の手術を受けているせいか、血圧や脈拍には異常が出ることが多く、その度大騒動になる。

今回もいつものように大騒ぎして、子どもや知り合いに電話をかけまくっているようだ。

そりゃ血圧がいきなりぽーんと上がっていたら誰でもびっくりするし、命に関わる一大事であることは確かだが、母はもう80近く、この手のことも今までに数限りなくあった。

長兄などは

「そんなに血圧が気になるんやったらもう計るな!」

とさえ言っている。

確かに母は自分の健康にものすごく敏感で、私に電話する時も延々

「血圧が~、心拍数が~、A1cが~」

と連呼している。

もちろん母には、いや父にも誰にでも、長生きして欲しいとは思っているが、そんなにまでして更に生きたいのか?!と思う時もある。

それを言うと

「当たり前やん」

と返されるが。

週に何度も病院に行き、病院の先生にまで「気にしすぎです」と言われるほど病院に行き、家でも数時間おきに血圧と脈を計っていたら、むしろ健康に悪いのじゃないかとも思ったりする。

検査をしてA1c(ヘモグロビンと血液中の糖が結びついた糖化タンパク質のことで、この数値が高いと糖尿の可能性が高くなるそうな)が普段より0.1でも高いと

「炭水化物を控える、ご飯食べない」

と言うが、お惣菜売り場のてんぷらコーナーでは一番にお芋さんを選ぶ母。

「いやそれ炭水化物のかたまりちゃうん?!」

と言うと

「え、お芋さんやから体にええやろ」

と言う。

健康に気を使ってるくせに小学校で習うような栄養の知識もなく、

「お芋さんやじゃがいも、かぼちゃは炭水化物が多いねんで」

と私が言うと、生まれて初めて聞いたかのように

「えええええ!」

と驚く。

A1cを気にする前にその辺のこと勉強すればいいのに、それは絶対しない。

栄養学を勉強したら負けだとでも思ってるのだろうか。

そして少しでもA1cの値が良くなると、

「もう治ってん」

と言って、添加物がたっぷり入っていそうな袋入りの小さいドーナツやあんぱんをむしゃむしゃ食べる。

そしてまた数値が悪くなると極端な節制を始める。

そもそもA1cとは0.1違うだけでそんなに体に影響があるものなのだろうか。

よくわからないが、多分それが体にどんな影響があるか、よりも母がそれを気にし過ぎることが問題なんだろうなとも思う。

母の高血圧は今回はしばらく続き、楽しみにしていた孫との旅行もキャンセルすることになった。

「もう死ぬかもしれない」

と母は涙ぐむ。

確かにもう死ぬかもしれないし、いつものように死なないかも知れない。

考えたところでどうしようもないのに母は延々考える。

仕方ないので高血圧に良いと聞く韃靼(だったん)蕎麦茶を持って行き、翌日にはお塩を使ってないスープを作って届けたりした。

こういう時に何もせず放置しておくと、

「みけこ#はたった一人の娘なのに私がつらい時何もしてくれなかった、私はなんて不幸な母親!」

と、親戚のみならず隣近所にまで言いふらされるのだ。

父がまだ元気だった頃は父の暴力に悩まされ、それは本当に気の毒だと思っていた。

ただ、時には自分だけ奄美大島に逃げてしまい、残された私達兄妹もとても気の毒だった。

そして父が特養に入所し、これでもう母の嘆きの元はなくなったと思ったら、今度は特養へ面会に行くのが辛いと嘆きだした。

なら行かなければいいと言うと、入れっぱなしだと誰に何を言われるかわからないと言って聞かない。

何を言うかわからないような誰かのことなんて気にする必要ないと思うのだが、母は気にする。

そして自分の体のことも気にする。

あまりに母の健康状態の話しを聞かされるものだから、一人でいて静かな時でも耳の中で「A1cが~」と言う言葉が幻聴のように聞こえる時がある。

そして、スーパーで買い物をしている時などに、母と同じ年くらいの女性がカゴに1袋¥98のミニあんぱんを入れていたりすると

「そんなの食べてA1cは大丈夫なんですか?」

と聞きたくなる。

健康は大切だ。

健康に気を配ることはいいことだ。

だがしかし、周囲の人間にここまで影響を与えるのはいかなるものか。

母にとっては自分の健康の方が、日本の少子高齢化問題よりも8050問題よりもオゾン層の破壊よりも大切なのだろう。

関心ごとが世間体と自分の健康だけ、と言うのはどんな気分だろう?と想像してみるが、なんだか息が詰まりそうだったからやめておいた。

家にいる時、膝の上に「人間の年齢なら80歳を越えている」らしい老猫をのせ、ゴロゴロ言っている彼女に声をかける。

「お前みたいなのが一番賢いんやろねぇ」

実は人間の言葉がわかってるんじゃないかと思うほど利口なうちの老猫は

「ぐうぅ」

と返事をする。

うちの母も彼女のように、「ぐうぅ」だけ言ってればまだ可愛げがあるのにな、などと考えてしまう私はやはり親不孝娘なのであろう。



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<無塩スープ>

材料

・水 200mlくらい
・玉ねぎ 大1個
・鶏肉 20グラムくらい
・鶏がらスープの素 小匙1
・しめじ 2分の1個
・あおさ粉 少々

鶏がらスープ以下はお好みで。
A1cを気にしない方ならじゃがいもや人参を入れるのもオススメです。

1、水を火にかけ、薄くスライスした玉ねぎと鶏肉、しめじを入れる。


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2、玉ねぎが透明になったら鶏がらスープを入れる。


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3、そのままことことしばらく煮込み、スープの分量が3分の2以下になったら、あおさ粉を彩りに入れ、出来上がり。





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プロフィール

みけこ#

Author:みけこ#
兵庫在住のアラフィフ主婦です。家族は配偶者&大学生の長男とダウン症+重度知的障害の20歳の次男、猫2匹。仕事は介護職です。シンプルライフに憧れてます。よろしくお願いします。

■ホームヘルパー2級
■アロマテラピー検定1級
■FP技能士3級

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